憂しと見し世ぞ今は恋しき

中学受験理科講座 動物とヒトのからだ(1)〜消化と吸収〜

動物とヒトのからだ(1) 解説動画 

動物とヒトのからだ〜消化と吸収〜 一問一答プリントはこちらをクリック
中学受験理科 オンラインテストはこちらをクリック
心臓や肺と循環、血液の流れなど、呼吸と循環の解説はこちらをクリック

栄養素とそのはたらき

栄養と栄養素

Haru_You
からだを作ったり、からだを動かすエネルギーを作り出す過程を栄養といって、その栄養をつくる物質を栄養素というんだ。
これは家庭科でも習うし、給食の献立表にも書いてあるよね。

栄養素はいろいろバランスよく食べましょう、とか書いてあるな、たしかに。
はるか

Haru_You
ヒトや動物は自分で栄養素を作り出せないから、食物から栄養素を取らなきゃいけないんだよ。
植物は光合成することでデンプンという栄養素を作ることができるんだけどね。

三大・五大・六大栄養素

栄養素にはどんなものがあるの?
はるか

Haru_You
炭水化物、タンパク質、脂肪の3つを三大栄養素ということが多いね。
あとはビタミン・ミネラルを合わせて五大栄養素、水または食物繊維を入れて六大栄養素なんて言い方もあるよ。

炭水化物ってなに?
はるか

Haru_You
デンプンと糖の仲間をまとめて呼んだものが炭水化物だよ。
一番小さな糖の粒がブドウ糖といって、それがいくつか結びついて果糖や麦芽糖になり、さらに糖がたくさん結びついたものがデンプンなんだ。
炭水化物は体を動かすエネルギーになるんだよ。

タンパク質は体によさそうだけど、脂肪ってなんか悪いイメージがあるよね。
だけど脂肪も必要な栄養素なんだ。
はるか

Haru_You
タンパク質は体を作るもとに、脂肪は体の熱や力のもとになるからね。
これらをバランス良くとることが大事なんだ。

動物の消化器官

消化って?

Haru_You
食物を食べても、それがそのまま体内に吸収されるわけじゃないのはわかるよね。
口から入って胃・腸を経て便として出されるまでに、食物の中に含まれた栄養素を取り出して、体内に取り込んでいくんだ。

たしかに、牛を食べたら体が牛に、米を食べたら体が米になるわけじゃないもんね。
そこから取り出した栄養素が体をつくってるんだ。
はるか

Haru_You
この食物を体内に吸収できるものに変えるはたらきを消化といい消化のはたらきをもつ体の組織を消化器官というんだ。
これは「器官」であって「器管」じゃないからね、漢字に注意。

たけかんむりはいらないのね。
管にすると一本のホースみたいになるもんね。
はるか

Haru_You
ところが、「消化管」って言葉もあってね。
消化管は消化のさいに食物が通過する管、ヒトなら口→食道→胃→小腸→大腸までのつながりを指すんだよ。

じゃあ、消化器官なのに消化管じゃないとこってある?
はるか

Haru_You
歯と肝臓、ヒトだとすい臓とたんのうも、食物の通り道ではないけど消化器官だね。

動物の消化器官

歯のつくりが動物ごとに違うのは肉を食べるか、草を食べるかの違いだよね。
はるか

Haru_You
うん、肉食だと獲物をしとめかみちぎる犬歯と門歯が、草食だと草をすりつぶす臼歯が発達しているね。

草食のほうが消化管が長いのはどうして?
はるか

Haru_You
草食動物の食べる草はせんい質が多くて、消化するのに時間がかかるんだよ。
ぼくらが雑草や木の皮を食べても消化できないんだけど、草食動物は長い消化管で時間をかけて消化できるから、えさとして食べるんだよ。

牛の胃袋が4つってのも消化のためってことか。
はるか

Haru_You
焼き肉でいうところのミノ、ハチノス、センマイ、ギアラだね。

ヒトの消化器官(1)

口のはたらき

Haru_You
食物が入ってくる口、そして歯が最初の消化器官になるね。

歯は食物を細かくするから消化器官だってわかるけど、口は消化器官なの?
はるか

Haru_You
口から出されるだ液、これは食道へ食物を送るだけでなく、デンプンを分解するはたらきがあるんだよ。
でも、その話はあとでしようか。


ヒトの消化器官(2)

胃のはたらき

Haru_You
口から食道を通って運ばれた先が胃だね。
食道も胃も筋肉でできていて、伸び縮みしたり食物を奥へ動かしたりすることができるんだ。

胃液に塩酸が含まれるってことは、食べ物は胃液で溶かされるのかな?
はるか

Haru_You
それなら胃が溶かされちゃうだろ?
だから塩酸が炭水化物やタンパク質を溶かすわけではないんだ。
胃液の中の塩酸は殺菌と、胃液のはたらきを助ける役割があるんだ。

小腸のはたらき

Haru_You
胃の次に送られるのが小腸だね。
小腸の前半、十二指腸という部分ではすい液とたん液がはたらいて消化を行い、真ん中の空腸では腸液による消化、後半の回腸で吸収が行われるんだ。
要するに小腸で食物はすべて消化され、さらに体内へ吸収されるってこと。

そしたら、すごい重要な臓器ってことだね。
小腸が病気になったら大変そう。
はるか

Haru_You
重要な臓器なぶん、胃や大腸と比べると丈夫にできているみたいだね。

ヒトの消化器官(3)

大腸のはたらき

Haru_You
小腸の次、おなかの外側をぐるっと取り巻くのが大腸だね。
大腸では、栄養素が吸収された残りかすから水分を吸収して便にするんだ。
これが直腸を経て肛門から排せつされるわけだ。

口→食道→胃→小腸→大腸の順番に通りながら、だんだん消化が進んでいくんだね。
はるか

Haru_You
でも、この消化管だけじゃ十分に消化しきれないんだ。
そこで、小腸の十二指腸では他の消化器官で作った消化液がはたらくんだ。

すい臓・肝臓・たんのうのはたらき

あれ?すい液とたん液ってあったけど、肝臓は使ってなくない?
はるか

Haru_You
実はたん液を作っているのは肝臓なんだ。
たんのうはたん液をためるための臓器なんだよ。
肝臓は体内で最大の臓器で、他にも栄養を蓄えたり熱を作ったりアルコールの分解をしたりと様々な役割があってね、とっても重要な臓器だよ。

お酒飲みの人はいつも肝臓を酷使してるわけだね。
はるか

Haru_You
・・・。
それから、すい臓ってのが胃の裏の背中側にあって、ここで作られるすい液は炭水化物・タンパク質・脂肪全てを消化できる強力な消化液なんだよ。

栄養素の消化

炭水化物の消化

小腸までで消化が進んで、食物から炭水化物、タンパク質、脂肪が取り出されてきたんだよね。
これが体内に吸収されるの?
はるか

Haru_You
いや、それらの栄養素は水にとけず、粒が大きいのでそのままでは吸収されないんだよ。
消化の過程のなかで、それぞれの栄養素を、体に吸収されやすい別の物質に変えているんだ。
たとえば、炭水化物はブドウ糖に変化して、体に吸収される。

そういえば、デンプンがだ液で分解されるっていってたよね。
はるか

Haru_You
うん、まずだ液の作用でデンプンが麦芽糖という糖になり、これがすい液・腸液の作用でブドウ糖になるんだよ。

じゃあ、はじめからブドウ糖で食べてれば簡単に吸収できるってことだよね。
はるか

Haru_You
そうだね、だから手軽に栄養素を吸収できるように、ブドウ糖タブレットなんてものが売ってるんだよ。

タンパク質の消化

じゃあ、タンパク質は何になって吸収されるの?
はるか

Haru_You
タンパク質はアミノ酸という物質に変化するんだ。
タンパク質が胃液でペプトンに変えられ、すい液と腸液でアミノ酸に変えられるんだ。
アミノ酸ってのは1つの物質じゃなくって、グルタミン酸とかアルギニンとか20種類の物質の総称でね。
吸収したアミノ酸は体内で再びタンパク質に合成されて体をつくるんだよ。

でも、炭水化物とちがって、胃に行くまでは消化されずにタンパク質のままなんだね。
はるか

Haru_You
風邪引いたときとか体調悪いときには「消化が悪いから」なんていって、肉を食べさせずに、うどんとかおかゆとか出すだろ?
炭水化物は口で消化できるから、体にそんなに負担かけずに食べられるんだよ。

脂肪の消化

最後に、脂肪だよね。
これはどうなるの?
はるか

Haru_You
脂肪は脂肪酸とモノグリセリドに変化するよ。
十二指腸でたん液と混ぜられてすりつぶされた脂肪が、すい液と腸液の作用で分解されるんだ。

脂肪はタンパク質よりさらに消化が遅いんだね。
はるか

Haru_You
年寄りは脂っこいものを食べた後に「胃がもたれる」なんて言ってるだろ?
消化されるのが胃を通過してからだからね、それまで胃に残ってる感じがするんだよ。
食べたものがどこで消化されて何になるか、しっかり覚えておかないと食事の時にも困るんだね。
はるか

消化酵素のはたらき

消化酵素って?

胃液やだ液は、どうやって栄養素を吸収しやすいものに分解しているの?
はるか

Haru_You
消化液の中に、消化酵素という栄養素を細かい粒に分解するはたらきを持つ物質が含まれているんだ。

酵素って言葉は聞いたことあるな。
洗剤のコマーシャルとかだったかな?
はるか

Haru_You
酵素っていうのはタンパク質でできてて、他の物質の変化を助けるが自分は変化しないって物質のこと。
化学では触媒って言葉ででてきたね。

あ、二酸化マンガンが過酸化水素水を分解するってやつで出てきたね。
はるか

Haru_You
そうそう、そんな風に○○が××を分解する、ってのが決まってるんだよ。
だ液のプチアリンがデンプンに、胃液のペプシンがタンパク質に、すい液と腸液のリパーゼが脂肪にそれぞれはたらくって決まっているんだ。

ペプシンはタンパク質をペプトンに変えるってあるけど、アミノ酸じゃないの?
はるか

Haru_You
一度ペプトンになってから、すい液のトリプシンでアミノ酸になるんだけど、そこまで細かく聞くことはないかな。
同じように、プチアリンで分解されてできた麦芽糖がすい液マルターゼでブドウ糖になる、なんてのもあるけど書かされることはまずないね。

消化酵素のはたらきやすい条件

Haru_You
この実験はよく出てくるから覚えておいてね。
デンプンにだ液を加え、37℃に保つとヨウ素液を加えたときにヨウ素デンプン反応の青紫色が出ないんだ。
すなわち、デンプンが分解されてなくなっちゃったってこと。

37℃ってのは体温ってこと?
はるか

Haru_You
そうだね。
体温より高くても、低くても、だ液の中の消化酵素がはたらかなくなるから、だ液を加えていてもデンプンが分解されず、ヨウ素液が青紫色になるんだ。

温度を37℃に戻せばはたらくの?
はるか

Haru_You
低温だったのを暖めれば消化酵素は再びはたらくけど、一度60℃以上に熱したものは、もうはたらかないんだ。
消化酵素はタンパク質でできているから、熱で変化しちゃうんだよ。
生肉を焼いたり、卵をゆでたりしたものは元に戻らないだろ?

養分の吸収

小腸の柔毛

栄養素が吸収できる細かな粒になったのはいいけど、小腸で吸収されてどこに行くの?
はるか

Haru_You
小腸、とくに回腸部分では内側のかべがでこぼこのひだになっていて、さらに柔毛という細かな突起があるんだ。
柔毛の表面から、水と一緒に栄養素が細かくなった養分が吸収されるんだよ。

細かいでこぼこや突起にはなんか意味があるの?
はるか

Haru_You
でこぼこのほうがまっすぐ平らな壁より表面積が大きくできるだろ?
表面から吸収するから、広いほうが有利なんだ。
吸収を行う器管が突起で表面積を大きくするってのは、肺の肺胞や植物の根毛なんかでも見られる特徴だね。

養分の行き先

養分が柔毛から水と一緒に体内に吸収されて、そのあとはどこへ行くの?
はるか

Haru_You
養分のうち、ブドウ糖とアミノ酸は毛細血管に入り、門脈という血管を経由して肝臓に運ばれる
脂肪酸とモノグリセリドはリンパ管に入り、脂肪に戻ってから体内で静脈につながるんだよ。

で、血管を経由して全身に運ばれて使われるわけか。
はるか

Haru_You
そうだね。
でも、その血管のつながりなんかは次回で説明しようか。
今回の内容では栄養素が消化管のどこでどのように分解されるか、それをしっかり覚えておいてね。

動物とヒトのからだ(1) まとめ

・炭水化物(デンプン・糖)・タンパク質・脂肪が三大栄養素
・栄養素はそのままでは体内に吸収できないので、吸収しやすくするはたらき=消化をおこなう必要がある
・食物の通り道となる口→食道→胃→小腸→大腸のつながりを消化管といい、食物は通らないすい臓、肝臓、たんのうは消化のはたらきがある消化器官
・デンプンはだ液などのはたらきでブドウ糖に分解される
・タンパク質は胃液などのはたらきでアミノ酸に分解される
・脂肪はすい液などのはたらきで脂肪酸とモノグリセリドに分解される
・消化された養分は小腸の柔毛から体内に吸収される

動物とヒトのからだ(1) 一問一答演習問題プリント

演習プリントには、Excelファイル版とPDFファイル版があります。
Excelファイル版はリロード・再計算(F8)するたびに数字や配列が変わります。
マクロは使用していませんので、セキュリティ警告はありません。
なお、PDF版では20問の収録ですが、Excel版にはより多くの問題を収録しています。
はるか


動物とヒトのからだ(1)演習問題
利用規定です。
本配布ファイルは個人利用に限り自由に使用することができますが、著作権は放棄していません。
学習塾、家庭教師などの商用利用は作成者までご相談ください。
本配布ファイルを利用した事によるいかなる損害も作成者は一切の責任を負いません。

はるか