地理・歴史・公民それぞれの学習
公民の出題はたった2割?
いつぞやの某YT報告会の資料で、2018年度入試での地理・歴史・政治国際(公民)の各分野の割合が出ていました。
地理34%、歴史40%、政治国際26%とのことです。
実感より多いかな?とも思いますが、政治国際分野の多くがその年のニュースと絡めて出されることを考えると、時事問題を除いた出題は2割を切るくらいになるでしょう。
ということは優先順位は低いかというと、そうではありません。
公民は一番得点源として見込みやすいのです。
じつは公民が一番簡単
公民分野は論述問題もあり、人名や地名でない専門用語が多く出てくるため難しいというイメージが強いようです。
ですか、入試問題を分析する側からしてみると、公民の問題が一番簡単に解けるといえるのです。
これまでの勉強法で書いてきたとおり、地理はデータの順位付けや情報を結びつけた分析が重要になります。
たとえば工業のグラフひとつをとってみても、「機械6割中京」「化学4割京葉」のように単純にいく場合もあれば、「塩田跡地」とか「ブラジル人街」とかの付帯情報、さらには人口や面積、交通といった様々な情報の結びつけが必要になることがあります。
また、歴史では多くの知識と、その知識1つ1つの事項をテーマ史として多方向から捉えられる視点が重要です。
「東海道」という言葉ひとつをとっても律令制度から東京オリンピック、地震に参勤交代といろいろな切り口で取り上げられます。
ところが、公民範囲はそもそも法として定義されたものが対象なのですから、そこに分析や多視点化の入り込む余地が少ないのです。
平和主義なら憲法9条、世界遺産ならユネスコ、特別国会は総選挙後30日で総理大臣指名、みたいに決まったことを答えればよい出題がほとんどです。
また、地歴ほど突っ込んだ知識事項は問われません。
塾教材なんかで太字で書いてある事項がきちんと押さえられれば十分です。
その年のトレンドに合わせて学習を
さらに、公民はその年ごとに問題の切り口が決まってきます。
そう、時事問題との組み合わせです。
ここで注意してほしいのは、時事問題とは「ニュースそのものが出題される」わけではないということです。
必死に時事問題系のテキスト読んだり、池上さんの番組見たりする受験生がいますが、必要なのはニュースを覚えることではなく、ニュースの背景にある公民の知識事項を取り出すことです。
このあたりを踏まえて、公民の教材を紹介したいと思います。
塾なしでも大丈夫!公民の基本教材
予習シリーズ、本科テキストは使いにくい!
地理歴史では塾なしの場合四谷の予習シリーズを薦めてきましたが、公民単元で「予習シリーズ6上」、これは最悪です。
小6前期から地歴の復習に入るというコンセプトのせいで、公民範囲と地歴の復習が混在する読みにくい教材に仕上がってます。
日能研の本科テキストステージⅣも同様ですね。
これならいっそサピのように分冊でいいのに・・・と思います。
ということで、中学受験用の公民範囲だけをまとめた教材ですが、「啓明舎が紡ぐ 中学入試 現代社会 【第2版】公民・環境・世界地誌」というのが市販されています。
3年前の出版なのでデータが古い部分はありますが、そこはニュース系の教材で補えます。
ニュース系教材は毎年10月ごろに発刊されますので、そこから時事問題との組み合わせで復習を始めます。
四谷、サピ、日能研と出版していますが、ニュースより知識事項に重きを置いた日能研のものがおすすめですね。
旧年版も読んでおくと、継続して問題とされている事象(2019の場合、天皇制や北朝鮮情勢)など深められますので、2年分用意するのもいいでしょう。
塾なしでも大丈夫!公民の演習教材
公民分野は古い問題集がまったく役に立たないので、毎年更新されていることが重要になります。
その点で無難なのはみくに出版の「メモリーチェック」ですね。
とはいっても、地歴ではコアプラスを使い公民でメモチェと使い分けるのも面倒で・・・。
塾なしなら両方こなせるでしょうが、塾教材もあるのならどちらか1つに絞りましょう。
まとめ
地理・歴史・公民にわたって教材を紹介してきましたが、これは塾なしで受験するときに0から学習していくためことを想定しています。
すでに塾テキストで学習している子にバラバラとたくさんの教材を買ってもやりきれませんので、まず塾テキストの有効活用から考えましょう。
それでも社会が苦手、という場合には、苦手単元や範囲の克服には分析と学習計画が重要になってきますので、個人的にご相談ください。