憂しと見し世ぞ今は恋しき

中学受験理科講座 電流と発熱

電流と発熱 解説動画

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電熱線の長さと電気抵抗

電熱線

Haru_You
電気を通しにくくするはたらきを「抵抗」というのは「電流と抵抗」の回でも説明したね。

抵抗を通るときに、電気のエネルギーが熱や光に変わるんだよね。
はるか

Haru_You
抵抗の大きさは、小さい順に銀<銅<アルミ<鉄<ニクロムの順で、このニクロムというのが電気のエネルギーを熱に変えるんだ。

電球なんかも熱を出すけど、それよりも熱いの?
はるか

Haru_You
うん、ニクロム線は電気ストーブやコンロに使われるくらい大きな熱を発するんだ。

あ、このタイプのストーブのやつね。
見たことある。
はるか

Haru_You
今回は、この電熱線の長さ・太さやつなぎかたによって、電流と発熱がどう変化するかを話していくよ。

抵抗の長さ

Haru_You
まず、太さが同じで長さが違う電熱線、これに同じ電流を流すところから考えてみよう。
長い電熱線と短い電熱線、どっちがより熱くなると思う?

長いほうが、暖まる場所が多いぶん熱くなるんじゃない?
はるか

Haru_You
いや、違うんだ。
長い電熱線は、それだけ抵抗が大きくなるから、電流が流れにくくなるんだ。
だから発熱量も、短い電熱線に比べて小さくなるんだよ。

そっか、電熱線は抵抗だから、電熱線が長くなるということは抵抗が大きくなるってことなのね。
はるか

Haru_You
で、今回の単元で計算するときはひたすら比例反比例だからね。
電熱線の長さと抵抗の大きさは比例して、電熱線の長さと電流の大きさは反比例するんだ。

長いと電気が流れにくいってことを覚えておけば、計算は比例でいいのね。
はるか

Haru_You
うん、だから覚えちゃえば簡単だよ。

電熱線の太さと電気抵抗

抵抗の太さ

Haru_You
今度は逆に、同じ長さで太さ(断面積)が違う電熱線に、同じ電流を流してみるよ。
どうなると思う?

太いほうがたくさん電流流れるから、熱くなるんじゃない?
はるか

Haru_You
正解。
太い電熱線は、抵抗が小さくなって多くの電流が流れるんだ。
よって、太い電熱線のほうが発熱量も多くなるってことだね。

で、これも比例するの?
はるか

Haru_You
うん、電熱線の太さ(断面積)と電流の大きさは比例して、電熱線の太さと抵抗の大きさは反比例するんだ。

電流と抵抗の反比例

長くなると抵抗が大きくなって電流が小さくなり、太くなると電流が大きくなって抵抗が小さくなる、ってことだね。
で、その計算は全部比例・反比例だと。
はるか

Haru_You
そうだね。
もともと、「抵抗」ってのは電流の流れにくさなんだから、抵抗と電流が反比例になるのは当たり前のことなんだ。

抵抗が2倍になれば、電流が2分の1とかだよね。
あ、そこに今回は「長さが2倍になれば、電流が2分の1」とか「太さが2倍になれば、電流が2倍」って関係が加わったのか。
はるか

Haru_You
それに気がつくと、理解が早くなるよ。
別に新しいこと、難しいことをやってるわけじゃないんだ、この単元は。

気圧と水圧

同じ太さの直列電熱線の合成

Haru_You
では、複数の電熱線を直列または並列でつなぐ場合を考えるよ。
まずは、同じ太さの電熱線を直列つなぎにする場合。

直列にしたら、抵抗が長くなるんじゃないかな。
はるか

Haru_You
正解。
直列につないだ電熱線は、長さが長くなった1本の電熱線になると考えるんだ。

長さ10cmのAと、長さ20cmのBを直列につないだら、長さ30cmの電熱線になったってことね。
はるか


Haru_You
そうしたら、電流はAの3分の1しか流れなくなるって計算もできるということだ。

同じ長さの並列電熱線の合成

Haru_You
次に、同じ長さの電熱線を並列につなぐ場合だ。

並列になるってことはそれだけ流れる道が増えるってことだから、抵抗が小さくなるんだよね。
てことは、太くなるのと一緒じゃない?
はるか

Haru_You
そうだね。
並列につないだ電熱線は、その断面積の合計になるよう太くなった1本の電熱線になると考えるんだ。
断面積1mm2のAと2mm2のCを並列につないだら、断面積が3mm2になると思えばいいんだね。
はるか



Haru_You
だからこの場合、Aの3倍の電流が流れるという計算ができるね。

太さ・長さの異なる電熱線の合成

Haru_You
最後に、長さや太さが異なる電熱線の合成だ。

たとえばAとBを並列にしたり、AとCを直列にしたり、ということだよね。
さらにBとCは長さも太さも異なるから、どっちつなぎにしても合成できないもんね。
はるか

Haru_You
この場合、抵抗の大きさが等しい電熱線と交換して、長さや太さを揃えるんだ。
抵抗の大きさが等しい電熱線なら、流れる電流や発熱は等しくなるからね。

交換して・・・って、どっから持ってくるの?
はるか

Haru_You
自分で作るんだ。
電熱線の長さを2倍したら抵抗が2倍になるけど、その太さを2倍にしたら、抵抗が2分の1になってもとに戻るだろ。
こんなふうに、電熱線の長さと太さに同じ数をかけて、合成しやすい電熱線を作るんだ。

たとえばAとCを直列にするなら、Cのほうが太から太さを0.5倍して、長さも0.5倍すればいいわけね。
はるか

Haru_You
Aの太さを2倍して、長さを2倍にしてもいいんだ。
その場合、長さ30cmで太さ2mm2になるんだけど、それって長さ15cmで太さ1mm2と同じことだからね。

電熱線のつなぎかたと発熱

電熱線と水温の上昇

Haru_You
じゃあ、実際に電熱線で水を熱してみよう。
ビーカーの中に電熱線を入れれば、熱がすべて水の加熱に使われるから、比例関係がはっきりするんだ。

水温そのものじゃなくて、何度水温が上がったかに注目すればいいのよね。
はるか

Haru_You
そうだね、水温の上昇が電熱線と比例関係を持つんだ。
まず、水温の上昇は、電流の大きさに比例する
たとえば120mAで1℃上昇するなら、240mAにすれば2℃上昇するんだ。

これはさっきまでの話と同じだよね。
はるか

Haru_You
次に、水温の上昇は電流を流して加熱した時間に比例する
たとえば、1分で2℃上昇するなら、2分で4℃上昇するんだ。
もちろん、0℃から100℃の範囲内だけだけどね。

でも、時間に比例するなんて当たり前だよね。
はるか

Haru_You
最後に、水温の上昇は、水の量に反比例する
たとえば、水の量が100gで4℃上昇するときは、水の量を200gにすると2℃しか上昇しない。
以上、3つが電熱線と水温の上昇の決まり事だ。

って、全部めっちゃ当たり前の話じゃん。
これを組み合わせて考えるにしたって、簡単だよね。
はるか

Haru_You
じゃあ、120mAで4分間、水300gを熱したら6℃上昇したとき、80mAで3分間、水600gを熱すると何度上昇するか計算してみな。

えーっと、電流が$\frac{80}{120}$=$\frac{2}{3}$、時間が$\frac{3}{4}$、水が2倍になったから$\frac{1}{2}$、よって$\frac{2}{3}$×$\frac{3}{4}$×$\frac{1}{2}$=$\frac{1}{4}$だから、6℃×$\frac{1}{4}$=1.5℃だね。
比例だけで計算できるって、楽しいよね。
はるか

並列ビーカーの温度上昇

Haru_You
じゃあ、つぎは2つ以上のビーカーを同時に熱する場合だ。
並列に電熱線をつなげて、それぞれビーカーの水を熱する。

あれ?並列だったら、1個ずつのときと変わらないんじゃなかったっけ。
豆電球で、別々の回路として考えるってやった気がする。
はるか

Haru_You
その通り。
並列になっている回路は別のものとして考えられるから、1個だけのときと同じ結果になるんだ。
だから、並列にビーカーをあたためる場合、抵抗の小さい(短い・太い)電熱線ほど水温を上昇させるわけだ。


直列ビーカーの温度上昇

Haru_You
じゃあ、直列に電熱線をつなげて、それぞれビーカーの水を熱してみようか。
どうなると思う?

うーん、直列だと全部同じ電流が流れるんだよね。
だったら、温度の上がり方は全部同じになるのかな。
はるか

Haru_You
おしいね、同じ電流が流れるところまではあってたんだ。
確かに、直列につないだ電熱線にはすべて同じ電流が流れる。
だけど、抵抗が大きいものに同じ電流を流すためには、大きな電圧をかける必要があるんだ。

電圧?
はるか

Haru_You
中学受験の理科では、ほとんど電圧について扱わないんだよね。
だからここでは、「抵抗の大きいところに同じ電流を流すために電気が頑張る」くらいに思っておいて。
その電気のがんばり、電圧の上昇によって、直列になったビーカーでは、抵抗の大きい(長い・細い)電熱線ほど温度が上昇するんだ。

並列とは逆の結果になるんだね。
はるか

Haru_You
うん、その逆の結果になる部分が出題になるところだからしっかり覚えてね。
あと、直列にすると抵抗の大きい方が発熱しやすいけど、その発熱は並列にしたものと比べると小さくなるからね。


電力と電球のワット数

電力(ワット数)の求め方

Haru_You
最後に、電力についての話をするよ。
1秒間あたりに使われる電気エネルギーの大きさを電力といって、電力は単位W(ワット)で表すんだ。

家の電気製品には600Wとか800Wとか書いてあるよね。
あれはその製品が消費する電気エネルギーの大きさなんだね。
はるか

Haru_You
そして、その電力Wは、電流(A・アンペア)×電圧(V・ボルト)で求めるんだ。
で、家の電源はふつう100Vの電圧で固定されてるから、電気製品のWを100で割ると、その電気製品に流れる電流の大きさがわかるんだ。

たとえば500Wって書いてあるやつだと、500÷100=5アンペアってことね。
はるか

Haru_You
で、電気製品を同時に使いすぎると過大な電流が流れて危険なので、一定の電流量を超えたら電気を止めるアンペアブレーカーという装置があるんだ。

あ、うちも炊飯器とドライヤーとホットプレート同時に使うとブレーカー落ちるよね。
はるか

Haru_You
うちは全体で60Aまで使えるけど、台所は20Aまでだからね。
台所のコンセントでドライヤー使うとダメなんだよね。

電球の明るさと家庭内配線

Haru_You
ところで、電球にもワット数が書いてあるのは知ってるかな。
40W・60W・100Wなんていう電球が一般的だよ。
どれが明るいかわかるかい?

100W電球のほうが40W電球より、電力をたくさん使うんだよね。
だったら、100W電球じゃないかな。
はるか

Haru_You
そうだね、普通に家庭内の配線につないだら、100W電球のほうが60Wや40Wより明るく光るよ。
100Vの電圧で、100W電球には1A、60W電球には0.6A、40W電球には0.4Aが流れるから、100W電球は電流が流れやすく、抵抗が小さいってことだ。

「普通に家庭内の配線につないだら」ってことは、そうじゃない場合もあるのね。
はるか

Haru_You
家のコンセントって、直列と並列、どっちかわかるかい?

並列に決まってるじゃん。
だって直列だったら、テレビ消したらトイレの電気も消えちゃうよ。
はるか

Haru_You
そうだね。
じゃあ、もしも直列に100W、60W、40Wの電球をつないだら、どうなると思う?

えっと、同じ電流が流れて・・・でも、抵抗の大きさが違うんだよね。
あ、電熱線と同じルールかな?
はるか

Haru_You
うん、電熱線のときと同じで、直列につなぐと、抵抗の大きい40W電球のほうが、抵抗の小さい100W電球より明るく光るんだ。

電流と発熱  一問一答演習問題プリント

演習プリントには、Excelファイル版とPDFファイル版があります。
Excelファイル版はリロード・再計算(F8)するたびに数字や配列が変わります。
マクロは使用していませんので、セキュリティ警告はありません。
なお、PDF版では20問の収録ですが、Excel版にはより多くの問題を収録しています。
はるか


電流と発熱
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はるか