都立中高一貫校の適性検査
都立中高一貫校の適性検査では、国語+作文の検査Ⅰ、算数理社の合教科式の検査Ⅱの2つに加え、学校によっては独自作成の検査Ⅲが課されます。
検査Ⅲを実施しない学校では検査Ⅰおよび検査Ⅱの一部を独自出題に差し替えることが多く、検査Ⅲ実施校は検査Ⅰ・Ⅱはほぼ共通問題を使用しています。
適性検査の得点+学校の調査書で合否を決めますが、配点は学校により異なります。
このあたりは別講で詳しく説明します。
ただ、僕が指導しているなかで得点開示をもらった実感としては、合格する子の多くは検査Ⅱで稼いでいる傾向を感じます。
そこで今回はその適性検査Ⅱに向けてのおすすめ教材を紹介します。
「銀本」は使い方次第
公立一貫校適性検査問題集として一番有名なのはみくに出版の「銀本」でしょう。
全国の一貫校適性検査を網羅し、数多くの問題に当たることができますので公立一貫校受検でググるとよくオススメされています。
多くの塾が教材として使っているのも、銀本から都立型の問題を抜粋したものです(著作権的にはめっちゃグレーですが、塾業界なんてそんなものです)。
ですが、この「銀本」は、解説はなく、解答用紙もなく、配点もなく、家庭での使用は難しい部分があります。
なにより、都立一貫校適性検査Ⅱは出題の形式がほぼ固定化してきていますので、銀本に見られる問題は的外れなものが多くなります。
銀本から都立向けの問題を抜粋する、ということができれば非常に有効ですが、家庭学習で親がそれをやるのは無理でしょう。
塾の先生なり家庭教師なりに、採点や添削を依頼できる環境ならフル活用できますが・・・
銀本を購入しなくとも、多くの自治体では公立一貫校の適性検査問題をHP上で公開していますので、それで十分です。
当サイトでリンク集を作りましたので、ご利用ください。
https://haruyou-blog.com/2019/02/19/post-2189/https://haruyou-blog.com/2019/02/19/post-2202/https://haruyou-blog.com/2019/02/19/post-2256/
過去問はペース配分の練習で
では、都立中高一貫校の出題形式に合わせて過去問ばっかりやればいいかというと、そうもいきません。
私立中受験の場合、複数校併願していくなかで、同偏差値帯の他校の過去問をやっておくと、類似の問題が出題されることも多々あります。
ところが、都立一貫校の場合は一校のみ受検ですし、ちょっと古い都内他校の過去問を合わせてもストックが多くはありません。
過去問だけではどうしても演習量が不足します。
また、私立校入試のように細かく単元分けされ知識や公式が整理されたものではありませんので、過去問でできなかった単元をテキストで復習し・・・のようなサイクルをつくることもできません。
過去問は45分で答案を完成させるペース配分の練習に使うだけでよいでしょう。
とはいっても以前の小石川などはかなり重たかったのですが、ここ数年の都立共通問題は45分もかかる問題はありません。
理科・社会の基礎知識に
都立中高一貫校の適性検査Ⅱでは理科・社会の大問が1つずつ出題されます。
ですが、そこに常識以上の知識は求められていません。
たとえば海岸沿いに工場が多い理由、種子の発芽に必要な三条件、こんな程度の知識があれば十分でしょう。
なので中学受験用の理科・社会問題集のたぐいは一切必要ありませんが、必要なときに小学校レベルの知識が確認できる本があると便利です。
小学校の総まとめ教材でおすすめは学研の「?に答える」ですね。
このタイプの教材ですと「自由自在」「応用自在」なんかが有名ですが、たいがい小4内容からの編集になっています。
小3内容から網羅しているこの「?に答える」は、基本的な知識からスタートできるので一番使いやすいです。
私立受験する子でも、塾版教材のように学年分冊でないので、一冊手元に置いておくと簡単な調べものの役に立ちます。
資料とグラフの読み取り訓練
適性検査の理社部分では知識問題が出されない代わりに、図表・グラフの読み取り問題が頻出です。
読み取ったデータを計算したり、そこから簡単な考察を書くだけで十分なので、慣れていれば非常に簡単・・・なのですが、練習不足だと書けない子は多いです。
塾に通っていれば、たいがい銀本の抜粋みたいな対策プリントがあるはずですが、塾なしの場合や演習量を増やしたい場合、このタイプの問題に慣れるための問題集をいくつか解いておきましょう。
まずは、東京学参の適性検査対策問題集。
これは完全に過去問の切り張りですが、解説がしっかりしているので塾なしの受検にはお勧めですね。
もう一冊、朝日小学生新聞のグラフ問題特別ゼミを紹介します。
これはグラフ読み取りに特化した問題集で、都立一貫校の適性検査Ⅱ対策としてはうってつけです。
中身は古いのですが、他の問題集や塾販教材を利用していても、これをプラスする価値はあると思います。
この2冊をやりこんでおけば、適性検査Ⅱの理社部分についてはかなり安定してくるでしょう。
ただし、都立一貫校の適性検査Ⅱではこの理社の問題の中に割合計算問題を織り込んできますので、計算力とスピードを鍛えておく必要があります。
次項では、適性検査Ⅱおよび一部学校のⅢで出題される、都立型算数の学習について書いていきます。
https://haruyou-blog.com/2019/09/03/post-6477/