中学受験理科講座 滑車と輪軸
滑車と輪軸 解説動画
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定滑車
滑車を利用したもの
Haru_You
今回も力学単元で、「滑車」と「輪軸」という2つの道具について話をするよ。
メインになるのは「滑車」だから、そっちから先に。
メインになるのは「滑車」だから、そっちから先に。
滑車って、公園のターザンロープみたいなやつでしょ。
はるか
Haru_You
まあ、あれも滑車の一種だね。
ターザンロープは滑車自体を動かすのが目的だけど、理科ではつるして物を持ち上げることを考えるよ。
一番わかりやすいのが、井戸の釣瓶を持ち上げるのに使う滑車じゃないかな。
ターザンロープは滑車自体を動かすのが目的だけど、理科ではつるして物を持ち上げることを考えるよ。
一番わかりやすいのが、井戸の釣瓶を持ち上げるのに使う滑車じゃないかな。
ああ、見たことある。
滑車って、こうやって物を持ち上げる道具のことね。
滑車って、こうやって物を持ち上げる道具のことね。
はるか
Haru_You
うん、ほかにもクレーン車とかエレベーターとか、滑車を使って物を持ち上げるしくみについて考えていくよ。
定滑車の利点
Haru_You
さっきの井戸みたいに、ひもを引いても動かないように固定されてる滑車を、定滑車というんだ。
定滑車では、たとえば100kgの荷物を持ち上げるには、100kgの力が必要なのは分かるよね。
定滑車では、たとえば100kgの荷物を持ち上げるには、100kgの力が必要なのは分かるよね。
荷物にひもがついてるんだから、荷物の重さより大きい力で引っ張らなきゃ持ち上がらないよね。
はるか
Haru_You
うん、荷物を直接引くことになるから、定滑車ではひもを引いた長さと同じだけしか、荷物は動かないのもわかるね。
わかるけど、そしたら定滑車って何の役に立つの?
はるか
Haru_You
定滑車は、力の向きを変えられるんだ。
重い物を腕で持ち上げるのには腕の筋力が必要だけど、定滑車を使うと下向きに引っ張ることで物を持ち上げられるだろ。
重い物を腕で持ち上げるのには腕の筋力が必要だけど、定滑車を使うと下向きに引っ張ることで物を持ち上げられるだろ。
そっか、ひもに全体重をかければ腕力がなくても持ち上げられるもんね。
はるか
Haru_You
ということで、定滑車では力と距離で損も得もしないけど、力の向きを変えられるってことをまず覚えておいて。
動滑車
動滑車の力
Haru_You
で、さっき話に出てきたターザンロープのような、滑車自体に物をつるして、両端のひもで持ち上げると滑車が動くものを、動滑車というんだ。
両端のひもで持ち上げるってことは、2人で協力して持ち上げられるってことだよね。
はるか
Haru_You
うん、だから動滑車では、一方の端にかかる力は、つるした物の重さの半分になるんだ。
そしたら、100kgの荷物を持ち上げるのに動滑車を使って、一方の端を天井につないで、もう一方の端だけ持ち上げれば、50kgの力で済むってことか。
はるか
Haru_You
うん、だから動滑車では力で得をするんだ。
動滑車の動く距離と向き
でもさ、力で得をしたら距離で損するのが仕事の原理だって、てこの説明のときに言ってたよね。
はるか
Haru_You
うん、だから動滑車では、荷物を持ち上げたい距離の2倍の長さ、ひもを引き上げないといけないんだ。
たとえば10cm引き上げるには、動滑車の右側と左側、両方とも10cm引き上げるから合計で20cm引き上げないといけないんだよ。
だから、動滑車では力で得をする代わりに、距離で損をするってこと。
たとえば10cm引き上げるには、動滑車の右側と左側、両方とも10cm引き上げるから合計で20cm引き上げないといけないんだよ。
だから、動滑車では力で得をする代わりに、距離で損をするってこと。
それに、動滑車だと上向きに引っ張らないと持ち上げられないよね。
はるか
Haru_You
動滑車ではななめに引っ張ると、荷物の半分より大きな力が必要になるし、ひもを開く角度が大きくなるとロープウェイみたいに滑車が動いちゃうからね。
動滑車では力の向きを変えられないんだ。
動滑車では力の向きを変えられないんだ。
定滑車と動滑車、それぞれに利点と特徴があるから使い分けるんだね。
はるか
Haru_You
いや、使い分けるんじゃなくて、一緒に使うんだ。
組み合わせ滑車とか複滑車とかいう、動滑車を組み合わせて必要な力を減らしつつ、定滑車で向きを変えて引っ張りやすくする装置について考えるのが、実際のテストで出る内容だね。
組み合わせ滑車とか複滑車とかいう、動滑車を組み合わせて必要な力を減らしつつ、定滑車で向きを変えて引っ張りやすくする装置について考えるのが、実際のテストで出る内容だね。
組み合わせ滑車
一本ひもの滑車
Haru_You
組み合わせ滑車の問題を解くときに一番大事なのが、つながった一本のひもには、どの場所でもすべて同じ力がかかるということだ。
強く引っ張られたり弱く引っ張られたりしてる場所はないの?
はるか
Haru_You
もしそういう状態になってたら、ひもがたるんだり切れたりしちゃうことになるだろ。
そっか。
そしたら、おもりからつながったひもをたどればかかる力がわかるってことね。
そしたら、おもりからつながったひもをたどればかかる力がわかるってことね。
はるか
Haru_You
ひもが1本だけで作られた組み合わせ滑車では、おもりをつけた滑車の上にひもが何カ所かけてあるかを見て計算するんだ。
一番左は、おもりの真上に3ヵ所ひもがかけてあるね。
これって、3本のひもでおもりを持ち上げてることになるよね。
これって、3本のひもでおもりを持ち上げてることになるよね。
はるか
Haru_You
うん、でもそのひもは1本だから、すべてに同じ力がかかるので、おもりの重さを3で割った力がかかることになるんだ。
たとえばおもりが120gなら、120÷3=40gずつ持ち上げてることになる。
たとえばおもりが120gなら、120÷3=40gずつ持ち上げてることになる。
あ、そしたらそのひもを引っ張ってる手が、40gの力で引っ張ってることになるんだ。
はるか
Haru_You
それで正解。
真ん中の図と左の図は、4本で持ち上げることになるから、おもりの重さを4で割った力で引っ張ってることになるね。
真ん中の図と左の図は、4本で持ち上げることになるから、おもりの重さを4で割った力で引っ張ってることになるね。
ひもを引く力と距離の逆比
Haru_You
次に、組み合わせ滑車につるしたおもりを持ち上げるときに、手でひもを引く距離について。
手でひもを引く力と持ち上げるおもりの重さの比は、手でひもを引く距離とおもりの動く距離の比の、逆比になるんだ。
手でひもを引く力と持ち上げるおもりの重さの比は、手でひもを引く距離とおもりの動く距離の比の、逆比になるんだ。
力で得をしたら、距離で損をするってやつだよね。
はるか
Haru_You
たとえば、30gの力で120gのおもりを持ち上げる組み合わせ滑車だと、力は30:120=1:4なわけだ。
このとき、おもりを10cm持ち上げるには、手でひもを引く距離を□cmとして、□:10=4:1となり、□=40cmになる。
実際に計算するときは、「力が□分の1だから、ひもを引く距離は□倍」と考えるのが簡単だよ。
このとき、おもりを10cm持ち上げるには、手でひもを引く距離を□cmとして、□:10=4:1となり、□=40cmになる。
実際に計算するときは、「力が□分の1だから、ひもを引く距離は□倍」と考えるのが簡単だよ。
じゃあ、20gの力で100gのおもりを持ち上げる装置なら、力が5分の1だから距離は5倍、20cm持ち上げたかったら100cmひもを引けばいいってことね。
はるか
Haru_You
その通り。
このルールが覚えられれば、滑車は簡単だからね。
このルールが覚えられれば、滑車は簡単だからね。
重さのある滑車
滑車の重さ
Haru_You
ここまで、滑車に重さは考えていなかったけど、滑車に重さが設定されている場合もあるんだ。
とはいっても、定滑車の重さはひもを引く力には影響しないけどね。
とはいっても、定滑車の重さはひもを引く力には影響しないけどね。
じゃあ、その重さはどこで使うの?
はるか
Haru_You
定滑車は天井からぶら下がってるから、天井にかかる下向きの力を計算するときに使うんだ。
たとえば、重さ100gの定滑車に80gのおもりをつるして手で引いたとき、天井には何gの力がかかるか、みたいな。
たとえば、重さ100gの定滑車に80gのおもりをつるして手で引いたとき、天井には何gの力がかかるか、みたいな。
滑車の重さも支えなきゃいけないから、180gになるってことね。
はるか
Haru_You
いや、滑車100+おもり80+手の80=260gだね。
定滑車では、左右両方の力が下向きの力になることに注意してね。
一方、動滑車の重さはひもを引く力に影響するんだ。
定滑車では、左右両方の力が下向きの力になることに注意してね。
一方、動滑車の重さはひもを引く力に影響するんだ。
といっても、滑車の重さもひもの両端で半分ずつ支えるだけじゃないの?
はるか
Haru_You
うん、それで正解。
100gの動滑車に80gのおもりをつるしたら、合計180gを支えればいいので90gずつになるんだ。
動滑車に重さがある場合、手が引く力は(動滑車の重さ+おもりの重さ)の半分になるってこと。
100gの動滑車に80gのおもりをつるしたら、合計180gを支えればいいので90gずつになるんだ。
動滑車に重さがある場合、手が引く力は(動滑車の重さ+おもりの重さ)の半分になるってこと。
重さがある滑車でひもを引く距離
このとき、80gのおもりを90gの力で持ち上げるんだから、手で引く距離よりおもりの動く距離のほうが長くなるの?
はるか
Haru_You
いや、滑車に重さがあるときは、手で引く力とおもりの重さの比を使っちゃダメ。
滑車ごと持ち上げる計算をするか、滑車の重さを0gにして手で引く力を計算しなおすんだ。
滑車ごと持ち上げる計算をするか、滑車の重さを0gにして手で引く力を計算しなおすんだ。
滑車ごと持ち上げるってことは、180gを90gで持ち上げるってことね。
滑車を0gで計算し直すと、80gのおもりを動滑車で持ち上げて、40gの力で引くことになるのかな。
どっちにしろ、持ち上げる重さと手で引く力は2:1になるね。
滑車を0gで計算し直すと、80gのおもりを動滑車で持ち上げて、40gの力で引くことになるのかな。
どっちにしろ、持ち上げる重さと手で引く力は2:1になるね。
はるか
Haru_You
そりゃそうだよ、動滑車なんだから。
逆に言えば、滑車に重さがあっても、動滑車ではおもりを持ち上げる長さの2倍ひもを引かなきゃいけないことに変わりはないんだ。
逆に言えば、滑車に重さがあっても、動滑車ではおもりを持ち上げる長さの2倍ひもを引かなきゃいけないことに変わりはないんだ。
輪軸
輪軸を利用したもの
Haru_You
続いて、輪軸について。
大きな半径を持つ輪の内側に小さな半径の輪を取り付けて、同時に回転するようにしたものが輪軸だ。
大きな半径を持つ輪の内側に小さな半径の輪を取り付けて、同時に回転するようにしたものが輪軸だ。
いまいちピンとこないんだけど、どんなものに使われているの?
はるか
Haru_You
ドライバーとか、蛇口とか、ハンドルとか、ドアノブとか。
回転する持ち手が大きくて、仕事をする軸が細くなってる道具は輪軸のなかまだね。
回転する持ち手が大きくて、仕事をする軸が細くなってる道具は輪軸のなかまだね。
そっか、回転する部分が大きいから距離で損をするけど、軸に伝わる力で得をする道具なんだね。
はるか
Haru_You
でも、理科の問題で出てくる輪軸はそういう形状をしていなくって、円盤の外側にひもがついていて、ひもを引くと回転するようなしくみになっているんだ。
で、その回転をつり合わせるおもりの重さを計算することになる。
で、その回転をつり合わせるおもりの重さを計算することになる。
輪軸のつりあい=てこのモーメント
Haru_You
その輪軸の計算方法だけど、てこのモーメント計算と全く一緒なんだ。
というか、輪軸の正体は円の中心を支点にして自由に回転するてこなんだよね。
というか、輪軸の正体は円の中心を支点にして自由に回転するてこなんだよね。
じゃあ、支点からの距離×重さが左右で同じになればつりあうってこと?
はるか
Haru_You
うん、その通り。
支点が輪軸の中心だから、支点からの距離は半径となって、輪軸の左右で半径×重さが等しくなればつり合うんだ。
たとえば半径2の大輪で、左回りに50gのおもりをつるしたとする。
支点が輪軸の中心だから、支点からの距離は半径となって、輪軸の左右で半径×重さが等しくなればつり合うんだ。
たとえば半径2の大輪で、左回りに50gのおもりをつるしたとする。
そしたら、モーメントが2×50=100になるよね。
はるか
Haru_You
このとき、半径1の小輪には右回りに100gのおもりをつるせば1×100=100でモーメントが等しく、つりあうってことだ。
輪軸のひもを引く距離
そしたら、100gのおもりを10cm持ち上げたかったら、50gのおもりは20cm引けばいいんだよね。
はるか
Haru_You
仕事の原理で逆比を使えばそうなるね。
でも、輪軸の場合、輪の枚数を3枚以上にするとおもりが複数つるせるから、逆比じゃ計算しづらいこともあるんだ。
たとえば、半径3の大輪に左回り100g、半径2の中輪に右回り100g、半径1の小輪に右回り100gでつりあわせたとする。
でも、輪軸の場合、輪の枚数を3枚以上にするとおもりが複数つるせるから、逆比じゃ計算しづらいこともあるんだ。
たとえば、半径3の大輪に左回り100g、半径2の中輪に右回り100g、半径1の小輪に右回り100gでつりあわせたとする。
3×100=2×100+1×100だね。
はるか
Haru_You
このとき、大輪のおもりを12cm引くと、中輪と小輪はどうなると思う?
重さは同じだけど、2つ同時に動かすしなあ。
だめだ、よくわかんないや。
だめだ、よくわかんないや。
はるか
Haru_You
これはすごい簡単で、輪軸の動く距離は重さを見ないで半径だけ見ればいいんだ。
大輪が動いた12cmってのが90度だとしたら、中輪・小輪も90度動くけど、そのときの動く弧の長さは半径に比例するじゃん。
大輪が動いた12cmってのが90度だとしたら、中輪・小輪も90度動くけど、そのときの動く弧の長さは半径に比例するじゃん。
そしたら、半径が3:2:1だから、動く距離は12:8:4ってことか。
確かに簡単だね。
確かに簡単だね。
はるか
滑車と輪軸の計算問題
Haru_You
最後に、滑車と輪軸を組み合わせた例題を考えてみよう。
Aは80gの動滑車とおもりBを合わせた重さの半分だよね。だけどおもりBがわからないしなあ。
はるか
Haru_You
Aから見たらダメだね。
数字が分かっているほうから見ないと。
ここでは、左下の200gのおもりから見るんだ。
数字が分かっているほうから見ないと。
ここでは、左下の200gのおもりから見るんだ。
そしたら、輪軸で半径が1:2だから、力が2:1になって、ひもを100gで引いてることになるね。
あ、そしたら同じひもがつながってるから、Aも100gだ。
あ、そしたら同じひもがつながってるから、Aも100gだ。
はるか
Haru_You
そうすればBと滑車が合計200gって分かるから、Bが120gになるし、Cの重さも150gってわかると。
もっと複雑になっても、使う考え方はこれまでに説明したものだけだからね。
ルールさえきちんと覚えれば、けっこう得点しやすい単元だよ。
もっと複雑になっても、使う考え方はこれまでに説明したものだけだからね。
ルールさえきちんと覚えれば、けっこう得点しやすい単元だよ。
滑車と輪軸 一問一答演習問題プリント
演習プリントには、Excelファイル版とPDFファイル版があります。
Excelファイル版はリロード・再計算(F8)するたびに数字や配列が変わります。
マクロは使用していませんので、セキュリティ警告はありません。
なお、PDF版では20問の収録ですが、Excel版にはより多くの問題を収録しています。
Excelファイル版はリロード・再計算(F8)するたびに数字や配列が変わります。
マクロは使用していませんので、セキュリティ警告はありません。
なお、PDF版では20問の収録ですが、Excel版にはより多くの問題を収録しています。
はるか
滑車と輪軸(PDF版)
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本配布ファイルは個人利用に限り自由に使用することができますが、著作権は放棄していません。
学習塾、家庭教師などの商用利用は作成者までご相談ください。
本配布ファイルを利用した事によるいかなる損害も作成者は一切の責任を負いません。
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