中学受験理科講座 圧力と浮力
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圧力
力と圧力の違い
Haru_You
今回はまず「圧力」という話から始めるよ。
圧力って押す力のことでしょ?
ただの力と何が違うの?
ただの力と何が違うの?
はるか
Haru_You
たとえばさ、画びょうの針を親指で、平らな側をと人差し指ではさんで持ったとする。
親指と人差し指に同じ力をかけると、どっちが痛いと思う?
親指と人差し指に同じ力をかけると、どっちが痛いと思う?
そんなん、針のほうが痛いに決まってるじゃん。
てゆうか、親指に画びょう刺さるし。
てゆうか、親指に画びょう刺さるし。
はるか
Haru_You
これが同じ力でも、はたらく面の大きさが異なると効果が変わるってことなんだ。
圧力というのは、力の大きさを面積で割ったものなんだよ。
圧力というのは、力の大きさを面積で割ったものなんだよ。
画びょうの針を固いところに刺せるのは、先端が狭くて大きい圧力が生まれるからなのね。
はるか
圧力の計算
Haru_You
だから圧力の大きさはg÷cm2で求められるんだ。
単位はg/cm2と書いて、「グラム毎平方センチ」って表すか、「1cm2あたり○○g」って書き方をするね。
単位はg/cm2と書いて、「グラム毎平方センチ」って表すか、「1cm2あたり○○g」って書き方をするね。
図にある2000gの直方体が、100cm2の面を下にすると2000÷100=20g/cm2の圧力がスポンジにかかるわけだね。
で、向きを変えると圧力の大きさも変わるんだ。
で、向きを変えると圧力の大きさも変わるんだ。
はるか
Haru_You
たまに、「こっち向きにするとスポンジが受ける力はどうなりますか」っていう、引っかけ問題があるから注意してね。
力を加える面積が変わっても、力そのものは変わらないからね。
力を加える面積が変わっても、力そのものは変わらないからね。
「圧力」じゃなくて「力」って聞いてくるのか。
いやらしい質問だね。
いやらしい質問だね。
はるか
Haru_You
それ以外は、特に難しいこともないよ。
力が大きくなれば圧力も比例して大きくなって、面積が大きくなれば圧力は反比例して小さくなるってわかれば大丈夫だよ。
力が大きくなれば圧力も比例して大きくなって、面積が大きくなれば圧力は反比例して小さくなるってわかれば大丈夫だよ。
圧力の伝わりかた
パスカルの原理
Haru_You
圧力の性質として覚えておいてほしいのは、水や空気が閉じ込められた容器内では、水や空気全体に同じ圧力が同時に伝わるというルールなんだ。
これをパスカルの原理というんだけど、名前は覚えなくていいよ。
これをパスカルの原理というんだけど、名前は覚えなくていいよ。
うーん・・・つまり、どういうこと?
はるか
Haru_You
ピストン(内筒)を押すタイプの水鉄砲をイメージしてみて。
内筒を押した圧力が水の中を伝わって、先端の穴から水を発射するじゃん。
あれでさ、筒の手前に同じ穴を開けたとしたら、どうなると思う?
内筒を押した圧力が水の中を伝わって、先端の穴から水を発射するじゃん。
あれでさ、筒の手前に同じ穴を開けたとしたら、どうなると思う?
えっと・・・近い穴のほうが水が出やすい?
いや、まっすぐな先端の穴のほうが・・・?
いや、まっすぐな先端の穴のほうが・・・?
はるか
Haru_You
このとき、どっちも同じ勢いで水が発射されるんだよ。
手前でも先端でも、水全体に同じ圧力がかかるパスカルの原理があるからね。
なんとなくわかってくれればいいよ。
手前でも先端でも、水全体に同じ圧力がかかるパスカルの原理があるからね。
なんとなくわかってくれればいいよ。
ピストンのつりあい
Haru_You
で、これを利用するのが、底面積の異なる2つの筒をつなげて、水を入れてピストンで押す問題なんだ。
まず、ピストンで力を加えなければ、つながった筒では水面の高さは等しくなる。
で、一方の水面をピストンで押し下げると、もう一方の水面が上がるんだ。
この水面の上昇を止めるために、もう一方もピストンで押すときに必要な力を考えるよ。
まず、ピストンで力を加えなければ、つながった筒では水面の高さは等しくなる。
で、一方の水面をピストンで押し下げると、もう一方の水面が上がるんだ。
この水面の上昇を止めるために、もう一方もピストンで押すときに必要な力を考えるよ。
100gの力で押したのなら、もう一方も100gで押せばいいんじゃないの?
はるか
Haru_You
ピストンの底面積が同じならそれでいいけど、ピストンの底面積が異なれば、同じ力でも圧力が異なるだろ。
同じ圧力を加えないと、水の動きを止められないんだ。
同じ圧力を加えないと、水の動きを止められないんだ。
そっか、そしたら底面積が広い方には、大きな力を加えないといけないんだね。
はるか
Haru_You
そう、このときピストンをつり合わせる力の比は、底面積の比と等しくなるんだ。
また、水面の高さが上がってしまう場合、低い方の水面より上にある水の重さが、ピストンをつり合わせる力の代わりになることも覚えておこう。
また、水面の高さが上がってしまう場合、低い方の水面より上にある水の重さが、ピストンをつり合わせる力の代わりになることも覚えておこう。
水1cm3が1gだから、底面積50cm2で500gの力にするためには、10cmの高さが必要になるってことね。
これで水面の高さがどう変化するかも求められるんだ。
これで水面の高さがどう変化するかも求められるんだ。
はるか
Haru_You
水面の高さの変化は、同じ体積の水が移動すると考えると底面積の逆比になるよ。
たとえば底面積が1:2のピストンで、狭い水面を10cm押したら、広い方の水面は5cmだけ上がる、みたいにね。
たとえば底面積が1:2のピストンで、狭い水面を10cm押したら、広い方の水面は5cmだけ上がる、みたいにね。
気圧と水圧
気圧
Haru_You
気圧っていう言葉は「天気の変化」の単元なんかでも学んだよね。
地球上を取り巻く、大気の重さによる圧力を大気圧、または気圧というんだ。
気圧の大きさは、海面上の高さでは1cm2あたり約1kgにもなって、これを1気圧とするよ。
で、その1気圧のことを1013hPa(ヘクトパスカル)ともいう。
地球上を取り巻く、大気の重さによる圧力を大気圧、または気圧というんだ。
気圧の大きさは、海面上の高さでは1cm2あたり約1kgにもなって、これを1気圧とするよ。
で、その1気圧のことを1013hPa(ヘクトパスカル)ともいう。
そんなに気圧って重いんだ。
でも、空気の重さなんて感じないよ。
でも、空気の重さなんて感じないよ。
はるか
Haru_You
そりゃ、体の中にも同じ空気が入っていて押し返しているからね。
だから気圧が急に変動するトンネルやエレベーターでは、体内の気圧と体外の気圧が異なるから耳や鼻に違和感を感じるんだよ。
だから気圧が急に変動するトンネルやエレベーターでは、体内の気圧と体外の気圧が異なるから耳や鼻に違和感を感じるんだよ。
山の高いところでも、気圧は低くなるんだよね。
はるか
Haru_You
頭上の空気が減るわけだからね、標高が高いほど気圧は低く、だいたい標高1000mで100hPa低くなると思っていいよ。
じゃあ、富士山の山頂だと650hPaくらいしかないんだね。
はるか
Haru_You
うん、だから通常の気圧で密閉したお菓子の袋などは山の上ではパンパンにふくらむし、水面をおさえる力が弱まるから、水蒸気が出て行きやすく水の沸点が下がるんだ。
水圧
Haru_You
次に、水の重さによる圧力、水圧。
水圧は水深1cmにつき1g、と覚えてくれればいいよ。
水圧は水深1cmにつき1g、と覚えてくれればいいよ。
水1cm3が1gだと、底面が1cm2で水深10cmの水の柱は10cm3で10gになるからだね。
はるか
Haru_You
うん、だから水圧は浅いところでは小さく、深いところでは大きいわけだ。
このとき、水圧は下向きに発生するわけではなくすべての向きに発生するから、上向きの水圧はものを浮かせようとする力になるんだよ。
水中の物体では、浅い部分にかかる水圧より深い部分にかかる水圧のほうが大きいから、その差だけ持ち上げられるんだ。
このとき、水圧は下向きに発生するわけではなくすべての向きに発生するから、上向きの水圧はものを浮かせようとする力になるんだよ。
水中の物体では、浅い部分にかかる水圧より深い部分にかかる水圧のほうが大きいから、その差だけ持ち上げられるんだ。
あ、浴槽の中だと片手で体が支えられたりするように、水の中に入ると体が軽くなるやつだね。
はるか
Haru_You
うん、この水中でものを浮かせようとする力を浮力というんだけど、浮力の話の前にしておかないといけない話があるんだ。
物質の密度
密度の計算
Haru_You
物体1gあたりの重さのことを密度といい、g÷cm3の計算で求めるよ。
密度の単位は、g/cm3(グラム毎立方センチ)だ。
密度の単位は、g/cm3(グラム毎立方センチ)だ。
なんか、さっきの圧力の計算にそっくりだね。
はるか
Haru_You
計算式自体は似てるけど、使いどころが違うからね。
密度は、その物体が水に浮くかどうかを考えるときに使うんだ。
密度は、その物体が水に浮くかどうかを考えるときに使うんだ。
同じ100gの物体でも、水に浮くものと浮かないものがあるってことだよね。
はるか
Haru_You
うん、密度が1g/cm3より小さい、すなわち1cm3あたりの重さが水より小さいものは水に浮かぶ。
密度が1g/cm3より大きい、すなわち1cm3あたりの重さが水より大きいものは水に沈むんだ。
密度が1g/cm3より大きい、すなわち1cm3あたりの重さが水より大きいものは水に沈むんだ。
浮力があるからなんでもかんでも浮かぶ、ってわけじゃないのね。
じゃあ、密度がぴったり1g/cm3の物体があったらどうなるの?
じゃあ、密度がぴったり1g/cm3の物体があったらどうなるの?
はるか
Haru_You
密度がぴったり1g/cm3の物体は、水中で静止するよ。
あと、密度を計算することで、2つの物体が同じ材質でできているかどうかを考えることもできるんだ。
あと、密度を計算することで、2つの物体が同じ材質でできているかどうかを考えることもできるんだ。
10cm3で50gの物体と、30cm3で150gの物体があったら、どっちも密度は5g/cm3だから同じ材質ってことね。
はるか
物体の体積と水中での重さ
浮力=水中の体積
Haru_You
で、あらためて浮力の話に入ろう。
水中で物体が受ける浮力は、その物体の水中に入れた体積に等しくなるんだ。
水中で物体が受ける浮力は、その物体の水中に入れた体積に等しくなるんだ。
たとえば水中に10cm3が入っていたら、浮力が10g生まれるってこと?
はるか
Haru_You
その通り。
10cm3の水の重さは10gだから、10cm3が水中に入って水を押しのけるとき、10gの力で押し返されていると思えばいいよ。
10cm3の水の重さは10gだから、10cm3が水中に入って水を押しのけるとき、10gの力で押し返されていると思えばいいよ。
じゃあさ、体積が100cm3で、重さが50gの物体を水中に沈めたら浮力が100g発生するってこと?
はるか
Haru_You
うん、物体の重さ以上に浮力が発生するように沈めたら、水中から飛び出しちゃうよ。
ほら、水泳のビート板とか水に沈めると飛び出すじゃん。
ほら、水泳のビート板とか水に沈めると飛び出すじゃん。
そっか、ビート板って体積が大きい割にすごい軽いもんね。
はるか
Haru_You
逆に言えば、その物体の重さと同じ体積だけしか、水中には入らないってこと。
空の500mLペットボトルは20gくらいだから、水にプカプカ浮いているとき、水中には20cm3くらい入っているってことだよ。
空の500mLペットボトルは20gくらいだから、水にプカプカ浮いているとき、水中には20cm3くらい入っているってことだよ。
ばねはかりの値=物体の重さ−浮力
Haru_You
で、物体をばねはかりにつるしているとき、ばねはかりにつるしたまま水中に入れると、浮力によってばねはかりの示す値が小さくなるんだ。
たとえば、空気中では50gの物体を10cm3水に沈めたら、浮力が10g生まれてばねはかりは50−10=40gになるってことね。
はるか
Haru_You
うん、その通り。
物体の重さから浮力を引いたものが、ばねはかりの示す値になるよ。
逆に、浮力から水中に沈めた体積を求めることもできるんだ。
その50gの物体がばねはかりで20gになっていたら、どれだけ沈めたかわかるかい?
物体の重さから浮力を引いたものが、ばねはかりの示す値になるよ。
逆に、浮力から水中に沈めた体積を求めることもできるんだ。
その50gの物体がばねはかりで20gになっていたら、どれだけ沈めたかわかるかい?
50−20=30gだけ、浮力で軽くなっているから、水中に30cm3沈めたんだね。
そういえばさ、その浮力で軽くなった30gはどこにいっちゃうの?
そういえばさ、その浮力で軽くなった30gはどこにいっちゃうの?
はるか
Haru_You
軽くなるわけじゃなくて、水が支えているだけだからね。
水とビーカーの下に台ばかりがあれば、その台ばかりに浮力で減ったぶんの重さが加算されるんだよ。
水とビーカーの下に台ばかりがあれば、その台ばかりに浮力で減ったぶんの重さが加算されるんだよ。
浮力の計算の例題
Haru_You
じゃあ、例題を考えてみようか。
ばねはかりにつるした80gの物体Aが、水中に沈めたらばねはかりは25gになった、というのが(1)だね。
ばねはかりにつるした80gの物体Aが、水中に沈めたらばねはかりは25gになった、というのが(1)だね。
そしたら、80−25=55gの浮力が生まれているから、水中に55cm3沈めてるね。
完全に沈めているんだから、物体Aの体積は55cm3だ。
完全に沈めているんだから、物体Aの体積は55cm3だ。
はるか
Haru_You
正解。
つぎに、このときの台はかりについて。
もともと水とビーカーで400gだったけど、Aを入れたらどうなったかが(2)だ。
つぎに、このときの台はかりについて。
もともと水とビーカーで400gだったけど、Aを入れたらどうなったかが(2)だ。
浮力が55gだから、それが台ばかりにかかって400+55=455gになるね。
はるか
Haru_You
うん、正解。最後に、物体Bを水に入れたら台ばかりが520gを示して、Bは体積の半分だけ浮かんだという(3)の問題。
台ばかりの増えた120gがBの重さだよね。
浮かぶためには120gの浮力が必要だから、水中に120cm3入ってて、これが半分の体積だね。
そしたら120×2=240cm3がBの体積だ。
浮力の計算って、けっこう簡単だね。
浮かぶためには120gの浮力が必要だから、水中に120cm3入ってて、これが半分の体積だね。
そしたら120×2=240cm3がBの体積だ。
浮力の計算って、けっこう簡単だね。
はるか
Haru_You
ルールさえ分かってれば簡単に計算できるけど、物理で怖いのは(1)なんかでミスすると、そのあとすべてその数字で計算して全部ミスしちゃうことなんだ。
だからこそ、完璧にルールをおぼえること。
だからこそ、完璧にルールをおぼえること。
水以外の液体での浮力
浮力=液体中の体積×液体の密度
Haru_You
最後に、水以外の液体を使ったときの浮力を考えてみるよ。
水は1cm3が1gだからすぐに求められたけど、そうじゃない液体はどうなるの?
はるか
Haru_You
押しのけた液体の体積にあたる重さを考えればいいから、液体中に入っている体積×液体1cm3の重さ(液体の密度)が、浮力になるよ。
逆に、水の場合は液体1cm3が1gだから、×1を計算しなかったんだ。
逆に、水の場合は液体1cm3が1gだから、×1を計算しなかったんだ。
じゃあ、たとえば密度が1.5g/cm3の液体に100cm3入れたら、浮力は100×1.5=150gになるってことね。
はるか
重い液体ほど浮力が大きい
Haru_You
で、ここからいえるのが、重い液体ほど浮力は大きくなり、軽い液体ほど浮力は小さくなるということなんだ。
言い換えると、重い液体の中では浮かびやすく、軽い液体の中では沈みやすくなるんだ。
言い換えると、重い液体の中では浮かびやすく、軽い液体の中では沈みやすくなるんだ。
同じ120gの浮力を得るのに、1.2g/cm3の食塩水なら100cm3だけでいいのを、0.8g/cm3の油だと150cm3必要になるから、油のほうが多く沈んでることになるんだね。
同じ食塩水でも、濃ければそれだけ密度が大きくなって浮力も大きくなるんでしょ?
同じ食塩水でも、濃ければそれだけ密度が大きくなって浮力も大きくなるんでしょ?
はるか
Haru_You
うん、それで有名なのがイスラエルにある「死海」という湖だね。
塩分濃度がものすごい高いから、体を浮かべて本が読めるほどの浮力を得られるんだ。
塩分濃度がものすごい高いから、体を浮かべて本が読めるほどの浮力を得られるんだ。
圧力と浮力 一問一答演習問題プリント
演習プリントには、Excelファイル版とPDFファイル版があります。
Excelファイル版はリロード・再計算(F8)するたびに数字や配列が変わります。
マクロは使用していませんので、セキュリティ警告はありません。
なお、PDF版では20問の収録ですが、Excel版にはより多くの問題を収録しています。
Excelファイル版はリロード・再計算(F8)するたびに数字や配列が変わります。
マクロは使用していませんので、セキュリティ警告はありません。
なお、PDF版では20問の収録ですが、Excel版にはより多くの問題を収録しています。
はるか
圧力と浮力(PDF版)
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本配布ファイルは個人利用に限り自由に使用することができますが、著作権は放棄していません。
学習塾、家庭教師などの商用利用は作成者までご相談ください。
本配布ファイルを利用した事によるいかなる損害も作成者は一切の責任を負いません。
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