中学受験 社会科のおすすめ教材と学習法(3) 歴史編
地理と歴史の勉強法の違い
一問一答だけじゃ歴史は伸びない!
地理では「日本一」など「順位」が決まっているデータが多いのですが、歴史に順位づけはありません。
そのせいもあって、地理ではある1つの解答を出すために使われる質問が限定的になります。
たとえば工業地域について学習するときなら「日本一」=中京とか「化学が多い」=京葉とか「印刷」=京浜のように、一問一答での練習が有効になってきます。
それと同じように歴史を捉えて、「3代将軍」とか「743年」とか一問一答で歴史を学習していると、テスト形式で全然点数がとれないという事態になります。
たとえば「墾田永年私財法」という答えを出す質問だけでも、「743年」「班田収受」「公地公民」「三世一身法」「聖武天皇」「荘園」と様々な切り口からの問いがあるわけですが、一問一答では墾田永年私財法は一度しか出てきません。
歴史で大事なのは「覚えた用語どうしのつながり」を捉えることです。
むろん用語を覚えるために一問一答は有効ですが、歴史は一問一答だけで実力をつけることができない、というのが地理との違いです。
「出る順」「まとめ」の罠
「出る順」教材の最初に出てくるのは、当然歴史上の超有名人や頻出事項たちです。
ですが、入試直前期になってペリーも卑弥呼も覚えていない子はいませんよね。
むろん、それすら覚えていないレベルの子には役に立つ教材でしょうが、ある程度のレベルになってきたら出る順には何の意味もありません。
歴史では知識の偏りが地理よりも出やすいので、明治時代には詳しいけど鎌倉は・・・なんてことが多いんですね。
「出る順」で覚えるより、自分が覚えていないことをきちんとチェックしていくことが重要です。
そもそも、家光と吉宗どっちが出るの?とかデータでは吉宗のほうが出るのでしょうが、だからといって吉宗のほうが大事だ、なんてわけないですよね。
また、「サブノート」「まとめ」型の教材も同様です。
時代区分・時系列順や周辺の問いから答えを類推できるので、記憶が中途半端でも進められてしまいます。
「まとめ」型教材は全範囲を網羅するのではなく、テスト型演習で見つけた苦手単元のフォローで使う、と心がけましょう。
ノート整理もほどほどに
女の子で陥りやすいのが、丁寧に地の文や説明まで書いてしまうノート作りです。
達成感もありますし、まとめることで理解は深まりますが、結局完成したノートはテキストと同じものになります。
だったらテキスト精読すればいいだけじゃん・・・という。
精読の時には「書いて覚える」ためにもノートは併用してほしいのですが、殴り書きで十分です。
ただし、そこで「メモリーツリー」型に書いていくのがオススメです。
よく紹介されるメモリーツリーの書き方は、1つの事象を中心に据えそこから枝を生やす形式ですが、僕が授業で書いているのは縦方向に時系列を置いた形のメモリーツリーです。
いくつかの重要事項を中心軸に書いて、知らない言葉、間違えた事項が出るたびに書き加えていきます。
あとはよく言われるように、関係性を線でつないでいって思い思いのカラーリングを施したりイラスト入れたり・・・好きなように作らせます。
昔授業で書いた板書の画像がありますので、参考にしてください。(かなり雑ですが・・・)
塾なしでも大丈夫!歴史の基本教材
まずは歴史まんがで基礎固め
通常、歴史単元は小5後期での学習となりますが、そのスタートの時点で歴史を知ってる子と、そうでない子で大きな差が出ています。
「知ってる→わかる→楽しい→好き」というサイクルができやすくなるので、できるだけ早いうちから歴史まんがを読ませておきましょう。
学校図書室の定番は小学館版「まんが少年少女日本の歴史」なのですが、ちょっと絵柄が古くさいせいか子供受けはいまいちですね。
あと、これはネット界隈では近現代史部分の評判がすこぶる悪いので、そこは親の判断でしょうか・・・。
僕がおすすめするのは角川版の「まんが学習シリーズ日本の歴史」ですね。
内容紹介 近現代史まるわかりすごろく&サイコロ首脳えんぴつとは 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』別巻の「よくわかる近現代史」1巻の第一次世界大戦から、3巻の東日本大震災までの歴史的な出来事を再確認しながら遊べます。プレーヤーは、原敬、幣原喜重郎、吉田茂、レーニン、ルーズベルト、ゴルバチョフの、6人の首脳から一人を選び、彼らになりきって今日という日を目ざします。(縦500ミリ×横600ミリ) 〈本シリーズの特長〉 1.これが最先端の「東大流」! 歴史の大きな流れをつかむ工夫が満載!! 東大の日本史入試問題や歴史教育の現場で、今最も重視されているのは「歴史の大きな流れをつかむ」こと。このシリーズは「人物を中心とした物語」と「時代の大きな流れ」の二つを主眼に構成。 2.軽くて持ち運び&収納しやすいコンパクトサイズ! 従来の学習まんがのイメージとは一線を画す、ソフトカバー&四六判というハンディな仕様。子どもからは「軽い」「外に持っていきやすい」、親は「収納しやすい」と、事前の親子モニター調査では支持率No.1でした。 3.豪華すぎるイラストの競演 スタジオジブリの近藤勝也をはじめ、「ケロロ軍曹」の吉崎観音、「DEATH NOTE」の小畑健など、従来の学習まんがでは考えられなかった豪華執筆陣によるカバーイラストを実現しました。
絵が今風、少女系寄りなので読みやすいのと、何よりソフトカバーが助かります。ハードカバーのやつって、出先でちょっと読ませるのにまったく向いてないんですよね。
今回おまけでついている近代史すごろく、塾で小学生と高校生とやって盛り上がりましたw
歴史に興味を持たせるということでいえば、まんがだけでなく大河ドラマやフィクションの漫画・ドラマ、ゲームを利用するのも一つの手段ですね。
ということで、もう一つおすすめなのが「歴史漫画タイムワープシリーズ」です。
本格的な学習時には物足りませんが、きっかけ作りには最適です。
内容紹介 ●『歴史漫画タイムワープシリーズ通史編』について 従来の歴史漫画は、歴史上の人物が活躍する偉人伝ですが、『歴史漫画タイムワープシリーズ』は子どもたちが主役! 読者と同じ現代の子どもたちが、平安時代の貴族の屋敷に出入りしたり、江戸の町を歩き回ったりと臨場感あふれるストーリー展開で、漫画の主人公と同じ気持ちで歴史を体験できる新しい学習漫画です。 「学習指導要領」に対応しているので、歴史の基本的な知識を学ぶことができ、全14巻で先史時代から現代まで網羅できます。 小学校低学年からおススメ。
うちの子は2年生のとき、これの旧版(サバイバルシリーズ)読んでました。
これと妖怪ウォッチの石田三成回あたりで戦国時代に興味を持ったようで、その後戦国無双とかやったりして結構な歴史の知識を得られました。
メイン教材は塾版でOK
地理と違って歴史は年ごとの改版も少ないですし、テキストよりまんが日本の歴史のほうが情報量が多いくらいですから、塾に通っているならばその塾のテキストがあれば十分です。
ただし塾なしの場合、および塾教材が分冊になっている場合、四谷大塚の「予習シリーズ小5下」は用意してあげましょう。
もしくは全範囲テキストの「応用自在」みたいなのがあってもいいですね。そのタイプなら学研の「?に答える」がおすすめです。
内容紹介 【人気の小学参考書が改訂版にパワーアップ! 】 小学生が調べやすいように工夫された、聖徳太子からSNSまでなんでものってるビジュアルたっぷりの用語集。 ★教科書の基礎から入試対策まで! 本書は,小学の教科書の内容を核としながら,今の小学生に必要な内容を系統立てて構成した用語集です。基礎・基本から,中学入試,ニュースの社会科用語まで,わかりやすく解説しています。 ★「自ら学ぶ」習慣がつく 真の学力を身につけるためには,自分で調べる習慣をつけることが重要です。 いつでもこの本を手元に置いて,学校・塾の宿題で困ったときや,新聞やテレビのニュースを見て「?」と思ったときに,すぐ調べることで,自分の力で,主体的に考える力が身につきます。 ★ビジュアルたっぷりで調べやすい 興味を引くイラストや図,写真を豊富に使用するなど,読みたくなる工夫がいっぱいです。また,見出しは大きな字で探しやすく,知りたいことがすぐ見つかります。
「大事そうなところにマーカー」はダメ
地理の項でも書きましたが、テキストを読むときに「大事そうなところにマーカーを引く」はやってはいけません。
マーカーする必要があるのは「演習時に覚えていなかったところ」です。
読み返したときにどうしてもマーカー箇所に目が行きがちなのですが、「大事そうなところ」の大半はたいがい覚えていて無駄な時間を使います。
それよりも後で自分が見落としていた、記憶が定着していない場所をチェックするようにしましょう。
塾なしでも大丈夫!歴史の演習教材
アウトプット演習に工夫を
テキスト精読の後は演習に入りますが、ここで問題なのが歴史は「さっき家康を答えたから次は家光かな・・・」みたいに時系列順や周辺の語彙から解答が類推しやすくなる、ということです。
これのせいでコアプラスや4科のまとめをやらせると覚えているのに、なぜか実際のテストでは書けないって子が現れます。
そこで、歴史の一問一答をやるときは順序をランダムにして出すといいでしょう。
とはいえ、どこの塾でもエクセル化してランダム配列するチェックテストとか、暗記カードくらいは作っているでしょうが、塾なしの場合には自分で作らないといけないんですよね。
このサイトの「中学受験 社会科講座」では、一問一答のエクセルファイルを配布していますので、よろしかったらご利用ください。
歴史は一問一答よりテスト型を軸に
また、歴史の一問一答は単純に「用語」や「年号」を答えることに終始してしまいがちで、知識の結びつきや判断の入り込む余地がありません。
そこで歴史の演習ではテスト型の問題集を利用し、覚えていないことは暗記チェックノートを作ったり、メモリーツリーに書き込んでいくようにしましょう。
歴史の範囲テスト型の問題集として使いやすいのは、やはり四谷大塚の週例テスト過去問題集でしょうが、5年時、1周目の歴史の学習時には塾版の教材ならほぼなんでも大丈夫です。
演習量不足を補うために、どうせ地理のために買うのでコアプラスを使ってください。
6年になって2周目に入ってからは、どんどん過去問にあたって行きましょう。
地理や公民と違って古い年度のものでも使えますので、みくに出版の銀本を古本で買ってもOKですね。
内容紹介 中学入試で出題される重要事項の中から「核」となる知識を厳選し、まとめた問題集。一問一答形式で効率良く知識を確認。「読む」・「答える」・「確認する」の3つのステップを順にクリアすることで、確実に実力を伸ばし、「スパイラル反復システム」で一つの単元を何回も復習することで、実力を定着。
内容紹介 首都圏の国・私立中学校の2018年度入試問題を、共学校、男子校、女子校にまとめた教科別問題集。 収録校数は全国最多の152校。出題されたすべての問題を掲載(一部図版等著作権により削除)。実際の試験時間を明記。 別冊解答には解答の他、アンケートによる実際の配点を掲載(回答のあった学校のみ)。を明記。
まとめ
歴史については教材がどうこうよりも、とにかく興味を持てるかどうかが大事になります。
よく「社会は追い込みが利く」なんて言われますが、興味持ってる子が勝手に伸びるだけで、歴史が苦手だった子が後から追いつくことは希です。
早い段階で興味を持たせて自学自習できる体制にすることができれば得点源として見込める単元ですので、上手に誘導してあげてください。
学習法についてのご質問やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
次は公民についてまとめます。
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