都立中高一貫校受検に向けての学習法(2)適性検査Ⅱ対策 おすすめ教材
都立中高一貫校の適性検査
都立中高一貫校の適性検査では、国語+作文の検査Ⅰ、算数理社の合教科式の検査Ⅱの2つに加え、学校によっては独自作成の検査Ⅲが課されます。
検査Ⅲを実施しない学校では検査Ⅰおよび検査Ⅱの一部を独自出題に差し替えることが多く、検査Ⅲ実施校は検査Ⅰ・Ⅱはほぼ共通問題を使用しています。
適性検査の得点+学校の調査書で合否を決めますが、配点は学校により異なります。
このあたりは別講で詳しく説明します。
ただ、僕が指導しているなかで得点開示をもらった実感としては、合格する子の多くは検査Ⅱで稼いでいる傾向を感じます。
そこで今回はその適性検査Ⅱに向けてのおすすめ教材を紹介します。
「銀本」は使い方次第
公立一貫校適性検査問題集として一番有名なのはみくに出版の「銀本」でしょう。
内容紹介 全国で入学者選抜が行われる公立中高一貫校116校の2018年度適性検査問題を、1冊にまとめた問題集。 一部の放送問題・グループ活動を除き、すべての問題を掲載。 実際の試験時間を明記。また私立中高一貫校5校の適性検査型入試問題も同時収録。別冊解答付き。
全国の一貫校適性検査を網羅し、数多くの問題に当たることができますので公立一貫校受検でググるとよくオススメされています。
多くの塾が教材として使っているのも、銀本から都立型の問題を抜粋したものです(著作権的にはめっちゃグレーですが、塾業界なんてそんなものです)。
ですが、この「銀本」は、解説はなく、解答用紙もなく、配点もなく、家庭での使用は難しい部分があります。
なにより、都立一貫校適性検査Ⅱは出題の形式がほぼ固定化してきていますので、銀本に見られる問題は的外れなものが多くなります。
銀本から都立向けの問題を抜粋する、ということができれば非常に有効ですが、家庭学習で親がそれをやるのは無理でしょう。
塾の先生なり家庭教師なりに、採点や添削を依頼できる環境ならフル活用できますが・・・
銀本を購入しなくとも、多くの自治体では公立一貫校の適性検査問題をHP上で公開していますので、それで十分です。
当サイトでリンク集を作りましたので、ご利用ください。
過去問はペース配分の練習で
では、都立中高一貫校の出題形式に合わせて過去問ばっかりやればいいかというと、そうもいきません。
私立中受験の場合、複数校併願していくなかで、同偏差値帯の他校の過去問をやっておくと、類似の問題が出題されることも多々あります。
ところが、都立一貫校の場合は一校のみ受検ですし、ちょっと古い都内他校の過去問を合わせてもストックが多くはありません。
過去問だけではどうしても演習量が不足します。
また、私立校入試のように細かく単元分けされ知識や公式が整理されたものではありませんので、過去問でできなかった単元をテキストで復習し・・・のようなサイクルをつくることもできません。
過去問は45分で答案を完成させるペース配分の練習に使うだけでよいでしょう。
とはいっても以前の小石川などはかなり重たかったのですが、ここ数年の都立共通問題は45分もかかる問題はありません。
理科・社会の基礎知識に
都立中高一貫校の適性検査Ⅱでは理科・社会の大問が1つずつ出題されます。
ですが、そこに常識以上の知識は求められていません。
たとえば海岸沿いに工場が多い理由、種子の発芽に必要な三条件、こんな程度の知識があれば十分でしょう。
なので中学受験用の理科・社会問題集のたぐいは一切必要ありませんが、必要なときに小学校レベルの知識が確認できる本があると便利です。
小学校の総まとめ教材でおすすめは学研の「?に答える」ですね。
内容紹介 【人気の小学参考書が改訂版にパワーアップ! 】 小学生が調べやすいように工夫された、メダカからAI(人工知能)までなんでものってるビジュアルたっぷりの用語集。 ★「自分で調べる」習慣がつき,知識が深まる・広がる・わかる! ★教科書で,塾で,ニュースで,「?」と思ったら,すぐに調べられる! ★興味をひろげる「リンク」が充実。 ★2020年からの新学習指導要領対応。
内容紹介 【人気の小学参考書が改訂版にパワーアップ! 】 小学生が調べやすいように工夫された、聖徳太子からSNSまでなんでものってるビジュアルたっぷりの用語集。 ★教科書の基礎から入試対策まで! 本書は,小学の教科書の内容を核としながら,今の小学生に必要な内容を系統立てて構成した用語集です。基礎・基本から,中学入試,ニュースの社会科用語まで,わかりやすく解説しています。 ★「自ら学ぶ」習慣がつく 真の学力を身につけるためには,自分で調べる習慣をつけることが重要です。 いつでもこの本を手元に置いて,学校・塾の宿題で困ったときや,新聞やテレビのニュースを見て「?」と思ったときに,すぐ調べることで,自分の力で,主体的に考える力が身につきます。 ★ビジュアルたっぷりで調べやすい 興味を引くイラストや図,写真を豊富に使用するなど,読みたくなる工夫がいっぱいです。また,見出しは大きな字で探しやすく,知りたいことがすぐ見つかります。
このタイプの教材ですと「自由自在」「応用自在」なんかが有名ですが、たいがい小4内容からの編集になっています。
小3内容から網羅しているこの「?に答える」は、基本的な知識からスタートできるので一番使いやすいです。
私立受験する子でも、塾版教材のように学年分冊でないので、一冊手元に置いておくと簡単な調べものの役に立ちます。
資料とグラフの読み取り訓練
適性検査の理社部分では知識問題が出されない代わりに、図表・グラフの読み取り問題が頻出です。
読み取ったデータを計算したり、そこから簡単な考察を書くだけで十分なので、慣れていれば非常に簡単・・・なのですが、練習不足だと書けない子は多いです。
塾に通っていれば、たいがい銀本の抜粋みたいな対策プリントがあるはずですが、塾なしの場合や演習量を増やしたい場合、このタイプの問題に慣れるための問題集をいくつか解いておきましょう。
まずは、東京学参の適性検査対策問題集。
これは完全に過去問の切り張りですが、解説がしっかりしているので塾なしの受検にはお勧めですね。
内容紹介 全国の中高一貫校の適性検査の問題から、資料をもとにした問題を選び出し、10パターンに分類。着眼点、考え方・解き方をていねいに示した例題と的確なヒントが参考になる練習問題、くわしい解説で確かな実戦力をつける。 ・自分の力で公立中高一貫校適性検査を攻略するための一冊 ・公立中高一貫校適性検査必須の出題形式「資料を使って解く問題」を完全攻略 ・実際の出題から良問を精選 ・資料をもとにした問題を選び、10パターンに分類 ・例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う ・複合問題にも対応できる力を養う
もう一冊、朝日小学生新聞のグラフ問題特別ゼミを紹介します。
これはグラフ読み取りに特化した問題集で、都立一貫校の適性検査Ⅱ対策としてはうってつけです。
中身は古いのですが、他の問題集や塾販教材を利用していても、これをプラスする価値はあると思います。
内容紹介 公立中高一貫校の9割以上(2012年度)で出題される「グラフ問題」対策に特化した問題集! ●入門編→中級編→上級編の3段階で実力をつけられる。 ●24日間で基礎から難関校レベルの対策まで ●くわしい解き方・解説で、考え方がしっかり身につく ●朝日学生新聞社出版部のウェブサイト「あさがく・ジェーピー」で無料ビデオ講義(合計8時間半)が見られる
この2冊をやりこんでおけば、適性検査Ⅱの理社部分についてはかなり安定してくるでしょう。
ただし、都立一貫校の適性検査Ⅱではこの理社の問題の中に割合計算問題を織り込んできますので、計算力とスピードを鍛えておく必要があります。
次項では、適性検査Ⅱおよび一部学校のⅢで出題される、都立型算数の学習について書いていきます。
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